試した施策の数は多いのに、なぜ成果が出ないのか。2026年Webマーケ実態調査(739社)が明かした、迷走企業に共通する行動癖
同じソーシャル広告で23%が成功し17%が失敗する。WINDOM調査739社のデータが示す、成功企業と迷走企業の「行動の分岐点」を5問診断で自社チェックできる記事。
Webマーケティングの施策を試した数は、それほど少なくない。SEO、ソーシャル広告、検索広告、コンテンツマーケ。一通り試してきた会社が大半だ。
それでも成果が出ない会社は、試す量が足りないのではない。
2026年、WINDOM株式会社が739名のWebマーケティング担当者を対象に実施した実態調査が、この問いに答えを出した。「成功している企業」と「迷走する企業」を分けているのは、施策の種類ではない。実行の前に何を決めているか、それだけだった。
(出典: WINDOM株式会社「2026年 Webマーケティング実態調査」https://windom-kk.co.jp/news/978/)
ソーシャル広告は「最も成功した施策」であり「最も失敗した施策」でもある
WINDOM調査で最初に目に飛び込むのは、奇妙なデータだ。
「最も成功した施策」の1位は、ソーシャル広告(23.0%)だった。ところが「最も費用対効果が悪かった施策」の2位も、同じソーシャル広告(16.7%)が入っている。
同じツールで、同じ市場で戦っている会社が、正反対の結果を出す。
検索広告も同様だ。「最も成功した施策」の2位(16.2%)であり、「最も失敗した施策」の1位(18.5%)でもある。施策に本質的な優劣はない。あるのは、その施策の使い方の違いだけだ。
では、その違いはどこで生まれているのか。
「期待した成果が出なかった施策の、最大の失敗要因」を聞いたところ、1位は「クリエイティブ/メッセージの弱さ(20.3%)」だった。2位は「戦略ミスマッチ(ターゲット/提供価値/ポジション)(18.5%)」だ。
ここで止まってほしい。クリエイティブが弱かったのはなぜか。ターゲットがずれた理由も、同じ根を持っている。
「クリエイティブが弱かった」は結果であり、原因ではない。「何を基準にクリエイティブを評価するか」が決まっていなければ、弱いまま気づかずに広告費を流し続ける。失敗要因の前にある失敗要因が、成功企業と迷走企業の本当の分岐点だ。
2026年に注力したい施策として1位がソーシャル広告(10.0%)、2位が検索広告(8.1%)という結果も出ている。苦しい施策に、来年も予算を投じるつもりの会社が多い。設計を変えなければ、同じ結果が待っている。
行動パターンの違い——先に「何を測るか」を決めているかどうか
成功企業と迷走企業を分けるのは、施策を始める前の段階にある。
迷走企業の動き方はこうだ。競合がやっているからソーシャル広告を試す。クリエイティブはデザイナーに一任し、一ヶ月後に「効果がなかった」と判断して撤退する。次の施策を探す。この繰り返しが続く。
成功企業の進め方は対照的だ。まず「この施策で何が変わったら成功か」を言語化する。クリック率なのか、コンバージョン率なのか、顧客獲得単価なのか。計測軸を決めてから動く。クリエイティブの改善も、その軸に沿って行う。

ここに、クリエイティブの弱さと戦略ミスマッチが生まれる。測定軸がないまま動くと、クリエイティブは「なんとなくよさそうなもの」になり、ターゲットは「なんとなく広め」に膨らむ。誰にも届かないメッセージが出来上がる。
調査データが示しているのは、施策そのものの問題ではない。「施策を始める前の設計」の有無が、成否を分けているということだ。
隣の部署の話を聞いてほしい。ひとりマーケターがいる会社で、「先月ソーシャル広告を試したが効果がなかった」という報告があった。効果の判断基準は「体感的に問い合わせが増えなかった」という感覚だけだ。体感は測定ではない。増えるはずのない理由がそこにある。
迷走の正体——失敗パターン5類型
739社のデータを読み解くと、迷走企業に共通する行動癖が5つの類型に整理できる。
施策先行型 「やってみてから考える」が口癖だ。測定指標を決めずに施策を始める。一ヶ月後に数字が出ても、何と比較すれば良いのかわからない。「思ったより数字が低い」という感想で終わる。
競合追随型 「競合がやっているから」が意思決定の根拠だ。ターゲット・提供価値・ポジションが自社と競合では異なるのに、施策だけを模倣してしまう。戦略ミスマッチ(18.5%)の主因はここにある。
予算消化型 年度末に予算が余っている。「使わないと来期の予算が減る」という動機で施策を打つ。目的なき施策は成果を出さない。失敗したのに「予算消化できた」という満足感が残る、最も気づきにくい類型だ。
担当者孤立型 ひとりマーケターが施策を回しているが、決裁者には結果を数字で見せられない。継続か中断かの判断基準が機能していないため、「とりあえず続ける」か「とりあえずやめる」の二択になりがちだ。施策の改善サイクルが機能しない状態になる。
トレンド追いかけ型 新しい施策の情報収集には熱心だが、既存施策の改善には手を付けない。記事を読んで達成感を感じてしまい、実行は止まったままだ。手を動かしていないのに、知識だけが増え続ける。
自分の会社がどの類型に近いか、思い当たることはあるだろうか。複数の類型が重なっている場合は、最も当てはまる1つに絞って次のセクションの診断に進んでほしい。

自社を5問で診断するチェックリスト
今日から使える5問の診断だ。正直に答えてほしい。
Q1: 施策を始める前に「成功の定義」を言語化しているか
「効果があった」という判断を、何の数値が何%変わったら下すのか。施策開始前に決めているか。決めていない場合、クリエイティブの評価も改善の判断も、すべてが感覚に頼った状態になる。それが失敗要因1位(クリエイティブ/メッセージの弱さ、20.3%)の正体だ。
Q2: ターゲットを「課題・役職・状況」レベルで言語化できるか
「30代ビジネスパーソン」という定義では不十分だ。「社員5名規模の会社でひとりWebマーケを担当しており、施策の効果を社長に説明できずに困っている」というレベルで書けるか。書けない場合、クリエイティブのメッセージが誰にも響かない。失敗要因2位(戦略ミスマッチ)はターゲット定義の粗さから生まれる。
Q3: 先月、クリエイティブのA/Bテストを何回実施したか
失敗要因1位は「クリエイティブ/メッセージの弱さ(20.3%)」だ。クリエイティブは一発で当たらない。週次か隔週で改善サイクルが回っているか。先月の実施回数がゼロなら、失敗要因への対処が止まっている状態だ。
Q4: 施策の継続・中断を「誰が・何の数値を見て・いつ」判断しているか
この3点を即答できない場合、継続か中断かの決断は「なんとなく」になる。担当者の主観だけで動いていると、効いている施策を早期撤退したり、効いていない施策を惰性で続けたりする。判断基準の不在が、予算消化型と担当者孤立型を生む根本原因だ。
Q5: 今年、施策の構成を変えたなら、その理由を一文で説明できるか
「競合がやっていた」「上司に言われた」は理由ではない。「自社の〇〇という課題に対して、〇〇という仮説があるから〇〇を試す」と説明できるか。説明できない場合、来期も同じ構図で施策を変えることになる。
採点の目安
5問すべてに即答できた場合、成功企業の行動パターンに近い。3問以上で詰まった場合は、施策を追加する前に設計の見直しが必要な状態だ。詰まった問いが、今週取り組むべき課題になる。
過去に書いた「2026年のデジマは12点も変わった」(/blog/n2026051300016001/)では、施策の全体像を整理した。この5問診断は、その先の「自社の現在地確認」として使ってほしい。
2026年の予算配分と、AI検索対応の現在地
WINDOM調査では、2026年に注力したい施策の上位も明らかになった。
1位はソーシャル広告(10.0%)、2位は検索広告(8.1%)だ。成功施策の上位と、失敗施策の上位が重なるにもかかわらず、来年も同じ施策に予算を集中させるつもりの会社が多い。設計を変えなければ、結果は変わらない。
一方で注目したいのが、AI検索対応(SGE・AIO)への注力意向が1.6%にとどまったことだ。ChatGPTやClaude経由で自社が引用されるよう最適化する、いわゆるAEO・LLMO(LLM最適化)への動きは、まだ実装フェーズに入っている企業が少ない。
ここに、2026年後半の分岐点がある。
王道施策(ソーシャル広告・検索広告)の競合は激しく、入札単価は上がり続ける。同じ予算で出せる成果は、自然と下がっていく。一方、AI検索最適化への対応は、早期に動いた企業ほど「AI推薦枠」を獲得しやすい。競合が少ない今が、先行投資のタイミングだ。
AI検索からの流入はすでに増えている。Geminiからの流入が前年比388%増というデータも出ており(/blog/n2026032700002401/)、この動きは調査時点でも確実に進行していた。
Anthropicが中小企業向けに展開しているAIエージェントのワークフロー(/blog/n2026051600016901/)も、マーケティング業務の自動化という観点で参照する価値がある。「施策を試すための工数」そのものをAIで減らす動きが、2026年後半のひとりマーケターに求められる選択肢になっていく。

ひとりマーケターが今から動くなら、まず既存施策の設計品質を上げることが先だ。5問診断で詰まった箇所を直してから、新施策に予算を配分する。順番さえ守れば、同じ予算でも結果は変わっていく。
まとめ——迷走をやめる最初の1手
WINDOM調査(739社)が示した核心は、一言で言えば「施策の前に設計がある」ということだ。
失敗要因1位「クリエイティブ/メッセージの弱さ(20.3%)」も、2位「戦略ミスマッチ(18.5%)」も、共通した根を持つ。施策を始める前の段階で防げる問題にすぎない。
測定軸を決め、ターゲットを言語化し、改善サイクルを回す仕組みを持つ。その3点が揃っている企業が、同じソーシャル広告で23%の成功率を出している。
今日の最初の1手を決めるなら、5問診断のうち詰まった1問を、今週中に言語化することだ。
- Q1で詰まったなら: 今動かしている施策の「成功の定義」を3行で書く
- Q2で詰まったなら: ターゲット像を「課題・役職・状況」で1段落書く
- Q3で詰まったなら: 直近のクリエイティブに別案を1つ作る
- Q4で詰まったなら: 継続/中断の判断基準を「誰が・何を見て・いつ」で明文化する
- Q5で詰まったなら: 来期の施策選択の理由を一文で書いてみる
施策を増やす前に、設計を固める。それが迷走企業を卒業するための最短ルートだ。
「同じソーシャル広告で、勝つ会社と沈む会社が出ている」(/blog/n2026043000012101/)でも書いたが、施策の選択より先に「実行の設計」がある。今日の診断で、自社の現在地を確認してほしい。
施策を始める前の1時間で設計を固める。その1時間が、来月の結果を変えていく。
出典
- WINDOM株式会社「2026年 Webマーケティング実態調査——成功している企業と迷走する企業の違いが明らかに」: https://windom-kk.co.jp/news/978/
- WINDOM株式会社「2026年Webマーケティング投資動向」(PR TIMES): https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000003.000176801.html

AIを使いこなせない方は、この先どんどん差がつきます。僕はAIエージェントを毎日動かして、壊して、直して、また動かしてます。そういう泥臭い実践の記録をここに書いてます。理論は他の方にお任せしました。僕は動くものを作ります。朝5時に起きてウォーキングしてからコードを書くのがルーティンです。


