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同じソーシャル広告が「成功1位」と「失敗2位」に並んだ。2026年Webマーケ739名調査が見せた「分岐点」

WINDOM 2026年Webマーケティング実態調査では、最も成功した施策1位と失敗した施策2位に同じソーシャル広告が並んだ。成功側にいる企業がやっている3つのことを、PLAN-Bの中小企業調査と重ねて読み解く。

同じソーシャル広告が「成功1位」と「失敗2位」に並んだ。2026年Webマーケ739名調査が見せた「分岐点」
目次

2026年1月に公開されたある調査が、Webマーケ担当者の間で静かに広がっています。

WINDOM株式会社が739名のWebマーケ担当者を対象に「2026年Webマーケティング実態調査」を実施しました。「最も成功した施策」の1位はソーシャル広告(23.0%)でした。ところが、同じ調査の「最も失敗した施策」の2位にも、まったく同じソーシャル広告(16.7%)が並んでいます。

成功した人がいて、失敗した人もいる。それも、ほぼ拮抗した割合で。

調査タイトルは「成功している企業と迷走する企業の違いが明らかに」。配信元はNEWSCAST、公開は2026年1月26日です。

答えは「ツールではなく、運用」にあります。それを別の調査が、もう一段の解像度で裏付けていました。今日はその2本のデータを重ねて、「成功側」に立つための3つの問いを設計します。

ソーシャル広告が「成功1位」と「失敗2位」に同時ランクインした意味

まずはWINDOM調査の数字をもう少し具体的に見ていきます。

最も成功した施策の上位は、1位ソーシャル広告23.0%、2位以下が検索広告・SEO・コンテンツマーケと並びます。一方で、最も失敗した施策では、1位が動画広告、2位がソーシャル広告16.7%、3位がSEOという並びでした。

同じソーシャル広告という1つの手段が、成功側で4分の1、失敗側で6分の1の支持を得ている。これは矛盾ではないんです。

ソーシャル広告は、Meta広告やTikTok広告のように、いまや誰でも数千円から出稿できる仕組みです。プラットフォームの自動配信機能も成熟しました。Meta Advantage+やTikTok Smart Performance Campaignのような全自動配信が主流になり、参入障壁が下がっています。参入障壁が低いということは、「やってみた人」の絶対数が多くなる。母集団が増えれば、成功する人も失敗する人も、両方とも数として現れます。

つまり、成功か失敗かの分かれ目は「ソーシャル広告を選んだかどうか」ではない。「どう運用したか」です。

WINDOM側もこの点を強く示唆しています。広告手段の選定よりも、「誰が、どう動かすか」が結果を決めている、と。これがこの調査の最大の発見だと、僕は読み取りました。

そして、同じ調査内に「では成功側は何が違うのか」という別の数字が並んでいます。次のセクションで具体的に見ていきましょう。

成功した施策上位3位(1位ソーシャル広告23.0%・2位検索広告(数値非公開)・3位コンテンツマーケ(数値非公開))と失敗した施策上位3位(1位動画広告(数値非

失敗側の企業が抱えていた2つの共通点

WINDOM調査では、期待した成果が出なかった企業に対して「最大の要因は何か」を聞いています。

1位が「クリエイティブとメッセージの弱さ」20.3%、2位が「戦略の不一致——ターゲット・価値提案・ポジショニングのズレ」18.5%でした。出典はWINDOM公式ブログ(URL: https://windom-kk.co.jp/news/978/ )です。

この2項目を合計すると約38.8%。失敗企業の4割近くが、「広告の手段」ではなく「中身と方向」でつまずいていることになります。

クリエイティブが弱いというのは、画像や動画のクオリティだけの話ではありません。「誰の、どの感情に、どの言葉で刺すか」という設計が弱いということです。ターゲットがぼやけたまま、ありもののテンプレートで作ってしまう。これは外注に丸投げした企業ほど起きやすい現象です。

戦略の不一致はもっと根が深い。価値提案(自社が何を売っているのか)、ターゲット(誰に売るのか)、ポジショニング(市場のどこに立つのか)。この3点がそろわないと、どんな広告も成立しません。

ここで気になるのが、「失敗側の企業は、戦略を立てる時間も人もない状態でソーシャル広告に手を出したのではないか」という構造です。これを裏付けるデータが、別の調査にあります。

株式会社PLAN-Bが2025年に「中小企業のマーケティング体制と外注活用の実態調査2026」を実施しました。中小企業(従業員10〜299名)のマーケ担当者200名が対象です。マーケティングの「課題」として、42.0%が「人材不足」、38.5%が「戦略設計不足」と答えました。出典はPR TIMES(URL: https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000385.000068228.html )です。

人がいない、戦略がない。その状態で「とりあえずソーシャル広告を回そう」と判断すれば、クリエイティブも戦略もズレる。失敗側に並ぶ構造は、こうして生まれていきます。

成功側の企業がやっていた3つのこと

ではWINDOM調査で「成功要因」のトップに来たのは何か。これが本記事の最大のポイントです。

1位「自社内のノウハウ蓄積と専任配置」17.3%、2位タイ「信頼できるパートナーシップ」15.2%、2位タイ「ゴール設計の明確さ」15.2%でした。

注目すべきは、「特定のツールが優れている」「特定の代理店が強い」という回答が上位に来ていないことです。成功している企業の答えは、もっと地味で、もっと根本的でした。

1つ目「自社内のノウハウ蓄積と専任配置」を別の言い方にすると、「Webマーケを本気で見ている人が社内に1人以上いる」です。兼務でない、外注任せでない、その人が継続して改善を回している。当たり前のようでいて、できている中小企業は4割を切ります。

2つ目「信頼できるパートナーシップ」は、外注代理店との関係性です。安いから選ぶ・有名だから選ぶ、ではない。事業を理解して、数字を一緒に追ってくれる相手と組んでいる。

3つ目「ゴール設計の明確さ」は、KPI(重要業績評価指標)とKGI(重要目標達成指標)の話です。月間リード数で測るのか、最終的なLTV(顧客生涯価値)で測るのか。同じソーシャル広告でも、何で勝ちと判定するかで打ち手は変わります。

この3つに共通するのは、すべて「人と運用」の話だということ。新しいツールを買ったから成果が出るわけではない。誰がどう動かすかで、結果は決まる。

成功要因トップ3の構造図。中央に「成功側に立つ3条件」、左上「自社内のノウハウ蓄積・専任配置 17.3%」中央上「信頼できるパートナーシップ 15.2%」右上「

中小企業のリアル——専任部署あり38%、担当者不在20%

成功要因の1位が「自社内のノウハウ蓄積と専任配置」だとわかった。では、実際にそれができている中小企業はどれくらいか。

PLAN-B調査の数字に戻ります。中小企業200名のうち、マーケティングに「専任部署あり」は38.0%でした。「担当者そのものが不在」と答えた企業は20.0%あります。

つまり、中小企業の5社に1社は、Webマーケの担当者そのものがいません。専任部署があるのは4割弱です。残りの4割強は、「兼務担当者」か「経営者本人」が片手間でやっている計算になります。

外注活用についても面白いデータが出ています。外注を「全く使っていない」が35.5%。逆に活用している企業は、戦略設計などの上流工程から外注している場合が多い、という結果でした。

「外注は手を動かすところを任せるもの」という固定観念を持っていると、ここで取り残されます。成功している企業は、むしろ戦略設計の段階からパートナーを巻き込んでいる。これがWINDOM側の「信頼できるパートナーシップ」15.2%と接続します。

外注先に対する不満では、「提案内容の実行可能性の低さ」26.0%、「事業理解不足」24.5%が上位でした。提案はもらえるけど、実際にうちの体制で回せない・うちの事業を理解していない、という声です。

ここから読み取れるのは、「人を採るのは時間がかかる。だから、戦略設計の段階から伴走してくれる外注を選び直す」というルートが、現実解の1つだということです。

中小企業がいきなり専任部署を立てるのは難しい。けれど、「戦略から一緒に考えてくれる相手」を見つけるところからなら、今週中にでも始められます。

「成功する側」に立つための3つの問い——自己診断シート

ここまでの2本の調査を、自社のWebマーケに当てはめるための3つの問いを作りました。今日5分でチェックできます。

問い1: 自社のWebマーケに「最終責任者」がはっきりいるか。

「経営者がなんとなく見ている」「外注に任せている」では、責任者がいるとは言えません。数字を毎月見て、施策を決めて、止める判断もできる人。これが社内に1人いるかどうか。NOなら、まずは今いる人の役割定義からです。

問い2: 「数字で語れるゴール」が今日設定されているか。

「ブランド認知を上げたい」「問い合わせを増やしたい」では、ゴール設計とは呼べません。月間リード数100件、CPAは8,000円以下、LTV平均は5万円。こういった具体的な数字が、今日の時点で口頭で出てこないなら、ゴール設計は弱い状態です。

問い3: クリエイティブが「事業を理解した上」で作られているか。

外注デザイナーに「いい感じの画像をください」と発注している段階なら、これは弱い。自社のターゲット顧客がどの言葉に反応するか、どの瞬間に課題を感じるか。そこを言語化したブリーフィングシートが手元にあるかどうかで決まります。

3つの問いのうち、YESが2つ以上あれば、成功側の入り口に立っています。1つ以下なら、いまソーシャル広告に予算を増やすより、まず社内の「人と運用」を作り直す方が成果は早いです。

僕自身、過去に複数のチームを見てきた経験で言うと、この3つの問いを通さずに広告予算だけ増やしたケースは、ほぼ全件で「お金が溶ける」結果になっています。逆に、3つの問いを整えてから広告に手を出した企業は、半年以内に手応えを掴むことが多いです。

Webマーケ成功側に立つための3つの問い・自己診断チェックシート。問い1「最終責任者がはっきりいるか」問い2「数字で語れるゴールが今日設定されているか」問い3「

AI検索施策に1.6%しか手を出していない理由と、その罠

WINDOM調査の最後に、もう1つ気になる数字があります。

「2026年に注力したい施策」では、1位ソーシャル広告10.0%、2位検索広告8.1%でした。王道のWeb広告とSEOが投資意欲の上位を占めています。一方で、AI検索施策(SGEやAIO、つまり生成AI検索やAI Overview対応)は1.6%。様子見が圧倒的多数でした。

1.6%という数字を、僕は「やや危ない」と受け取っています。

理由は2つ。1つ目に、Google検索のAI Overviewはすでに本番展開が進み、AI検索からの流入実態が変わり始めています。Search Engine Landが報告したPrevisible社の分析では、LLM経由の流入が前年比527%増というデータが出ています(2026年)。特定サイト群の測定値であり、すべての業種・サイトに同じ伸びが出るわけではない点には留意が必要です。

2つ目に、AI検索対策(GEO・AEO・LLMO)は、SEOと違って「対策しても順位が見えにくい」性質を持ちます。だからこそ早く着手した企業ほど、競合が動かないうちに資産を積めます。「他社が動いてから対応しよう」と思った時には、既に2026年が終わっている計算になります。

このあたりの構造は、以前書いたGEO・AEO・LLMOを「1つの施策」に整理する記事と、8本書いて結局どれから優先するかの整理に詳しく書きました。AI検索施策が「重要だとわかっていても優先順位が落ちる」のは、効果測定の難しさが原因です。

ただ、「全部をやる必要はない」ということは言っておきたい。AI検索施策は、いまある記事・LPの一部に対して「AIに引用される構造」を入れていくだけでも、半年単位で効いてきます。月10時間でも始められる施策です。1.6%しかやっていない今がチャンス、と読むこともできます。

まとめ:2026年は「誰がどう動かすか」で決まる

2本の調査が示した構造を整理します。

  • WINDOM 2026年調査では、ソーシャル広告が「成功1位」と「失敗2位」に同時にランクインした。同じ施策でも、結果は運用次第で真逆になる
  • 失敗企業の最大要因は「クリエイティブとメッセージの弱さ20.3%」と「戦略の不一致18.5%」。手段ではなく中身と方向でつまずく
  • 成功要因の1位は「自社内のノウハウ蓄積と専任配置17.3%」。次いで「信頼できるパートナーシップ15.2%」と「ゴール設計の明確さ15.2%」
  • PLAN-B調査では、中小企業の専任部署ありは38.0%、担当者不在は20.0%。課題1位は人材不足42.0%
  • AI検索施策の注力は1.6%。様子見組が圧倒的だが、ここで動く企業が来年差をつける

ツールを買い替えるより、運用を作り直す方が早いです。

新しい広告プラットフォームを試す前に、今日5分で「3つの問い」を自社に投げかけてみてください。YESが2つ以上なら、ソーシャル広告の予算を増やしてもいい段階です。1つ以下なら、まず人と運用を立て直す。順番を間違えると、「成功1位」と「失敗2位」のどちらに自分が並ぶかは、運次第になります。

成功側に立つ企業は、ツールを選んでいるのではない。運用を選んでいます。

関連で読むなら、2026年のマーケ地図を1枚にまとめた記事と、Ahrefs SNS管理を4ヶ月使った正直レポートもどうぞ。前者で全体像を、後者で「ツールスタックの引き算」の実例を確認できます。

2026年Webマーケ注力施策ランキング棒グラフ。横軸に施策名、縦軸に%。1位ソーシャル広告10.0%、2位検索広告8.1%、AI検索施策(SGE・AIO)1.


出典

ナギ
Written byナギAI Practitioner / 経営者の相談役

AIを使いこなせない方は、この先どんどん差がつきます。僕はAIエージェントを毎日動かして、壊して、直して、また動かしてます。そういう泥臭い実践の記録をここに書いてます。理論は他の方にお任せしました。僕は動くものを作ります。朝5時に起きてウォーキングしてからコードを書くのがルーティンです。